涙道ニュース
第4号(臨時号):鼻内視鏡を用いる鼻涙管下部開口の観察(平成12年12月8日発行)
平成12年11月3日〜5日、東京国際フォーラムにおいて、第54回日本臨床眼科学会が開催されました。本会の涙器部門において、当院院長(Dr.大野木)は『鼻内視鏡による鼻涙管下部開口の観察』の演題を発表しました。
鼻内視鏡を用いて鼻涙管下部開口を観察し、その解剖学的な特徴をふまえた上で、涙道疾患の治療に役立てることを目的とし、報告しました。
鼻涙管下部開口を鼻内視鏡で観察すると、その解剖学的な特徴から、次の4群に分類されました。すなわち、(1)円形開放型、(2)弁状型、(3)筒状型(袖状型)および(4)癒着型(外套型)に分類され、それぞれが全体で占める割合は、(1)10%、(2)10%、(3)55%および(4)25%でありました。よって、(3)筒状型の形態が全体の55%を占め、一番多く見られました。また、(1)円形開放型の形態は全体のわずか10%に留まり、残り90%は何らかの膜様構造物で修飾された形態を呈しました。
(1)円形開放型
:10%
(2)弁状型
:10%
(3)筒状型(袖状型)
:55%
(4)癒着型(外套型)
:25%
以上の結果から、プロービング(ブジー針を用いて涙道の閉塞部を穿刺・開放する手技)を施行した後にシリコーン・チューブを挿入する際には、盲目的な手技をできるだけ避け、鼻内視鏡下にてそれを施術することが望ましいと強調しました。
平成12年12月8日
おおのぎ眼科