涙道ニュース
第5号：涙嚢鼻腔吻合術（DCR）による涙道治療（平成13年3月16日発行）
図1：涙道（模式図）
「涙腺」は涙を生産する工場である。ここから出た涙は眼球表面を一様に潤した後、残りの約90％は涙道を通って鼻腔へと排泄される。すなわち、涙は「涙点」と通り、「涙小管」、「涙嚢」を介して、「鼻涙管」から「下鼻道」へと流れ出る（図1）。
この涙道の途中で何らかの閉塞を来すと、『涙がたまる』・『涙が流れる』といった『流涙症』を訴えるようになる。
鼻涙管閉塞症も早期・軽度のうちはDSI療法（涙道ニュース第3号）が奏効することがある。しかし、閉塞が硬く、密になった場合、あるいは閉塞が慢性に経過し涙嚢炎（図2）と伴う場合、『涙嚢鼻腔吻合術（DCR）』を必要とする。
急性涙嚢炎に対して、抗菌剤による治療（点眼、内服および点滴など）を行うとともに、涙道の再建手術を施行する必要がある。以前には「涙嚢摘出術」が行われたが、術後には流涙症は全く改善されない。そこで、最近では、涙道の再建手術として、『DCR』が第1選択となっている。鼻内視鏡・半導体レーザー・N-Sチューブなどを用い、安全で確実な手術ができるようになっている。
当院では、涙道閉塞の難治例に対し、この涙嚢鼻腔吻合術（DCR）を施行しておりますので、お困りの方はぜひ御相談下さい。
図2：鼻涙管閉塞に伴う涙嚢炎
図3：涙嚢鼻腔吻合術（模式図）
平成13年3月16日
おおのぎ眼科
